マンション大規模修繕工事

~長期的・計画的な予防保全の実践を~ 

 

マンションを常に健全な状態に維持するために、理事会の役員として何をすれば良いのでしょうか。それは修繕時期を逸して再生不能な状態にならないように、「長期的かつ計画的な予防保全」を実践することです。
 

修繕委員にならなかった居住者様も、区分所有者として大規模修繕工事の流れを理解することはとても重要です。 


特に、多額の修繕費用を必要とする大規模改修工事は早期に計画し、修繕資金の不足や区分所有者の合意不足によって、工事の中断や延期にならないように十分に時間を掛けて計画しなければなりません。 

 

大規模修繕工事の 基本ステップ

+部分をクリックすると各詳細をご覧いただけます。 

STEP1 専門委員会設立・専門家の選定

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  1. 大規模修繕工事の検討開始  
  2. 大規模修繕委員会等の設立
  3. 実施方法のご検討 
  4. 実施方法によっては設計コンサルタント選定が必要


理事会の理事様は通常、1年間の持ち回りで交代してしまいます。

大規模修繕は計画から工事の完了まで長いもので2年程度かかってしまいます。

せっかく時間をかけて検討してきた工事計画も理事の交代で経緯が不明瞭になりトラブルが起きることもあります。

そこで、理事会とは別に「修繕委員会」を設立し、計画から工事完了までの間、委員の方が交代しない制度をとっている管理組合がほとんどです。 


 STEP2 調査・診断・ 数量積算 

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  1. 建物の調査・劣化部分の診断  
  2. 区分所有者に調査・診断の結果を公表
  3. 工事が必要箇所の説明


屋上の防水の劣化状況や漏水・雨漏りの有無、外壁のタイルの浮き、剥がれ、塗装、シール、コンクリート亀裂や劣化、鉄部の錆、バルコニーの手摺の固定状況など、補修が必要な箇所と数量をチェックします。


STEP3 計画・基本設計

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  1. 資金計画のご検討(修繕積立金見直し・借入の必要性等)
  2. 修繕・改修の基本計画を作成


建物劣化診断をもとに、工事を行うべき設計仕様を作成、決定します。

ここで重要となるのは、次回の大規模修繕を見据えて修繕積立金が足りなくならないように過剰な工事がないかなど、資金計画を考えながら仕様を決定することです。

業者任せの改修設計では、「本当に必要な工事なのか?」や「過剰な仕様で高い工事になっていないか」を確認する必要があります。

長期修繕計画書と併せて資金計画を立てることも重要です 。


STEP4 設計・施工会社選定【重要】

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  1. 実施設計を作成
  2. 施工会社を公募・選定
  3. 総会議決


紹介などで特定の業者のみで進めると競争力が働かず、高い工事費を支払うことになります。

まずは業界の専門誌、新聞などを利用して見積り参加業者を公募し、競争入札制度で各社入札してもらい、透明性を確保することが大きなポイントです。

見積り書の書式、数量を統一することで、各社の金額が高いか安いかを判断することが可能です。

しかし、工事費が安いということだけで判断してはいけません。工事の途中で倒産する危険性や万が一の対策も重要です。

なにより大規模修繕工事は、新築工事と違って住民の方が居住しながらの工事となりますので、工事中の住民への配慮やトラブルが起きないような事前の対策なども施工業者選びの大切なポイントとなってきます。

現場代理人(現場監督)の人柄や経験、力量で工事が大きく左右されることになりますので、担当者の面接も重要ポイントの1つになります。


★業界紙で公募 → 見積り参加業者6社に絞る → 入札 → さらに3社に絞る → 業者へのヒアリング → 採点投票 → 施工業者決定


 

STEP5 工事実施


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  1.  総会開催・工事請負契約・工事監理委託契約の締結
  2. 工事説明会
  3. 工事準備~着工
  4. 竣工



総会開催・工事請負契約締結】

管理組合総会を開催し、大規模修繕のために修繕積立金を使用すること、工事請負契約を締結することの決議、承認を得ます。

 

【工事説明会】 

この総会後に施工業者から住民へ向けて工事説明が行われます。


工事準備~着工】

自治会や近隣への挨拶、資材置き場の確保、駐車場の移設先を確保するなど工事の準備期間が必要となります。
準備が整えば工事の着工となりますが、一般的には大規模修繕工事の時期は、「春工事」(4月着工)「秋工事」(9月着工)に大きく分かれます。
1棟のみのマンションの場合、工事期間は4~5ヶ月程度となります。 

 

 

【工事中】 

 工事中は外壁周りに足場が立てられ、防犯対策やプライバシー保護のための対策が必要となります。

玄関ドアの塗装工事やバルコニーの塗装工事などで在宅が必要となったり、エアコンの室外機の一時撤去、洗濯物が干せない時期などのもあり、住民の協力が大切になります。

また、工事の進捗状況の報告や改正事項を協議する施主定例会議が月に2回程度行われます。

この他にも、予定通りの工事が適切に行われているかどうか、いわゆる手抜き工事となっていないか確認することは重要なポイントとなります。 


  

【竣工】 

工事完了の前に補修などが必要な箇所がないか現場で立会いチェックします。

全ての工事が完了すれば竣工引渡しの調印となり、長期にわたった大規模修繕工事が終了します。 


STEP6 アフターフォロー 

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  1. 工事の総括・長期修繕計画の見直し
  2. アフターサービス
  3. 補修



【アフターサービス】

 工事箇所によって2、3、5、8、10年のアフターサービスを施工業者より受けることができます。補償が受けられる年数は見積り条件に予め入れて工事請負契約を締結することが重要です。 


  

【竣工】 

工事完了の前に補修などが必要な箇所がないか現場で立会いチェックします。

全ての工事が完了すれば竣工引渡しの調印となり、長期にわたった大規模修繕工事が終了します。